相続放棄するだけでは解決にならない。
ある県では「空き家を取得するきっかけの6割が相続」であるという統計があるようです。その場合、相続する選択と相続を放棄するという2つの選択肢があります。
相続放棄を選ぶ場合、法的な手続きを踏みながら進めていくのですが、相続放棄をするとその財産(特に家のこと)から全ての責任を逃れることができるという誤解があるようです。しかし、2023年4月の民法改正により、相続放棄をした場合でも「現に占有している」財産についてのみ管理責任が残ることになりました。これにより、遠隔地の不動産などについては管理責任が免除されることになります。
「現に占有」とは、事実上支配・管理している状態を指します。例えば、被相続人と同居していた場合、その居住不動産は「現に占有」に該当します。一方で、遠隔地の不動産や管理に関わっていない財産については、管理責任が生じません。それでも、相続放棄をする際には慎重に考える必要があります。相続放棄は一度決定すると取り消すことができないため、後悔しないように家族としっかり話し合い、早期に決断することが重要です。相続放棄を選ぶ前に、専門家に相談することもおすすめします。
さらに、相続放棄後の管理義務は「保存義務」として定義され、財産の処分や管理を行う義務はありませんが、財産の現状維持をする義務があります。例えば、空き家の壁が倒壊しないようにするなどの注意が必要です。
相続放棄は人生を変える重大な決断です。法律の改正により管理責任が軽減されたとはいえ、慎重な判断と適切な対応が求められます。専門家のアドバイスを受けながら、最善の選択をしてください。